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三田村管打団?「!!」(cn0019)

販売価格 2,000円(税込2,200円)
型番 cn0019

レーベル:compare notes
品番:cn-0019
JAN:未定
フォーマット:CD
2009.2.14発売


1. バイエルン
2. コッペパン
3. ヤマヤマ
4. キネンジロー
5. マンモス
6. アルボラーダ
7. お母さんお願い
8. 旅行


音が踊る! 声なき唄が聞こえる!! とにかく愉しい!!!
天上の楽団から届けられた、笑顔が溢れ出す音と音


 それがライヴハウスであろうが、地元の祭であろうが、有名シンガーとの録音であろうが、すべての場所を虹色に染め上げる関西が誇る天上の楽団“三田村管打団?”が、ファースト・アルバム『!』がロングセラーを続ける中、ついにセカンド・アルバムを完成。総勢16名の大所帯、うち11名がレディースという形態ゆえか、しっかりした屋台骨と強烈なブロウを聴かせながら、他のブラスバンドにはあり得ないたおやかで繊細な部分と最上級の茶目っ気で聴く者を惹きつける。生演奏の刺激と場所の持つ磁力にこだわり続ける彼ららしく、今回もライヴ・スペースから保育所等、さまざまな場所でのファンキーな演奏を今や関西アンダーグラウンドの土台を支えるエンジニア西川文章(かきつばた、他)が、その空気までも含めて丁寧に録音。あのライヴの高揚感(これは、本当に生で見てもらわなくちゃ分からないのデス!)が、スピーカーの間から浮かび上がらせることに成功している。


 また、去年は三田村管部隊がクラムボンの歌姫原田郁子のソロ・アルバム『銀河』にも参加。余談だが、同アルバムの録音を行った夢のような場所、神戸・塩屋の洋館(旧・グッケンハイム邸)は、メンバーの森本アリらが運営。ここ最近、関西の新たなフリー・スペースとして、そのロケーションも含め話題を集めている。


 洋の東西、時代を問わず、世界中の歌から見事にピックアップしてくるカバー曲には、もはや彼らのライヴの定番となってきた名曲「キネンジロー」の再演に加え、どこか郷愁感を引き起こす旋律が美しいブルガリア民謡「お母さんお願い」、フランスのストレンジ楽団の銘品でありDJ仕様としてもお馴染みの「ヤマヤマ」、そしてブラジルの魂カルトーラも演奏した「アルボラーダ」、そして三田村管打団?結成のきっかけであるバンド“LIVE!LAUGH!”のリーダーであり、今は亡きトロンボーン奏者大原裕の名曲中の名曲「旅行」(ふちがみとふなとやロンサム・ストリングスのカバーもアリ)を最後に配置するという泣ける仕上がり。また、多くの人に「この曲ってカバー?」と問われることが多いのが実はメンバーのオリジナルだった、というのもこのバンドの特徴。今回も廣田/飯野/森本という才あるメンバーのオリジナル曲が、堂々とアルバムの核となっている。


 何よりも、見た目の可愛らしさやヤンチャネスに騙されちゃいけない。これは、期せずして生まれた、モノホンのブラスバンド・ミュージックだ。




 前作の「ルガール・コムン」には打ち震えたよ。美しい。重なり方が柔らかくて。泣いたわ。


 吹く楽器と叩く楽器は、感情が出やすいと思う。ハートのあたりでこみ上げたものはやっぱり目とか鼻とか口とか手足から溢れ出ることが多くて、吹いたり叩いたりっていうのはそれを音と一緒に外に出すわけだから、音を聞けばおのずとその感情がこちらに伝播してくる。歌は歌詞がカムフラージュすることもあるけど、その点ラッパったら。


 今作ではライブ・バージョンで再登場している「キネンジロー」。その中盤のラッパ・ソロあたり、ソロが始まるとすぐにナイス・タイミングで入る「ヒュー!」という煽りの声、その後ろでメンバーの網のようなコーラスがじわじわ迫ってきて、リズムも消えて、若干へたってきていたソロが底力を見せたところへ、「おーし、よくやったー」とばかりに太鼓がドコドコと賛辞を鳴らし、全員がブアー!っと被さってきて、ひとしきり旋律で締めた後、皆思い思いに吹き散らして、最後はまたきちんと引っ張り寄せてくれる。典型的な盛り上がり展開のパターンだとしても、それはやっぱり多くの人の心をつかむパターンなわけで、やっぱり感動してしまう。だけど大事なのは、パターンをパターンとしてではなく、なぜそのパターンが人の心をつかむのか、そのパターンの起源を今、目の前の演奏から納得させてもらえるということ。「だって、感じるままにやっていってたら、こうなるでしょ」といわんばかりの素直な流れ、演奏者の感動をそのままこちらに伝えてくれる。それが一番いい演奏だと思う。この曲に限らず、三田村管打団?はそんな演奏をしてくれる。


 演奏している皆さんのことは実はよく知らない。どこかの民族の録音を聴いて感動するのと似ている。私が2007年に見た大阪ブリッジでのライブでは、私が感極まるのと同じタイミングで、メンバーの一人が演奏をやめて前に出てきて、観客に後ろ頭を向け指揮を降り始めた。白く赤い肌色の頭にニットキャップをかぶせた長身の男、森本アリ君の振ってるその腕は、自分の仲間の演奏に感動した喜びをただ腕に託しているようにしか見えなかった。やっぱりこみ上げたものは目とか鼻とか口とか手足から溢れ出している。胸から拡がって身体を圧迫していたこちらのこみ上げたものも、それに導かれるように流れ出た。なんて気持ちがいいんだろう。


---二階堂和美

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