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大変なユニット/ノイズ・バラッズ ※特典CDR付

販売価格 2,400円(税込2,640円)
型番 FDR-1042

発売日:2019/12/10
JAN: 4582561390975
仕様:CD

作品詳細



ブリッジ特典CDR:「improvisation#2」

メンバー:
近藤直司 Kondo Naoji : baritone & tenor saxophone
組原正 Kumihara Tadashi : guitar
ヒゴヒロシ Higo Hiroshi : bass
本田珠也 Honda Tamaya : drums

全6曲収録
1. improvisation #1 16:34
2. improvisation #6 02:11
3. improvisation #3 07:33
4. improvisation #4 19:43
5. improvisation #5 18:09
6. improvisation #7 02:52

【本田珠也による作品紹介】:
「てーへんだ、てーへんだ、親分!」「まぁ、落ち着けハチ。何が底辺なんだ?ミュージシャンほど底辺な職業はないぞ」「親分、そのテイヘンじゃなくて大変なんですよ!」といきなり銭形平次から切り込んで見ましたが、そうなんです<大変>なんです。このユニット。ある意味スーパーグループだし。

大変なユニット。この名前の名付け親は、このユニットの活動拠点でもある阿佐ヶ谷YELLOW VISIONのオーナーの小林氏でありますが、本当に的を得たようなドンピシャなネーミングセンスに脱帽しました。僕自身が本当に大変なバンドだな、と思っていましたからね。いや、これはポジティブな意味で、ですよ。その何故<大変>なのか?というのは(地下音楽好きの変態プレイを好む方でしたら納得でしょうけど)この超超個性的なメンバー4人のプロフィールを見て頂ければすぐに理解できますので、メンバー4人の経歴及び詳細は個人的にググっていただいて、ここでは割愛させて頂きます。

まずサックスの近藤直司さん。この人(失礼!)、医学者で精神科医で大学の教授なんですよ!なんでこんなに頭のいい人が日本で一番野蛮なドラムを叩くのなか悟空さん率いる人間国宝でサックスを吹いているのでしょうか?しかもこの大変なユニットでは行き場の失ったゴジラのように咆哮を繰り返しメンバーを煽り立てますし、一切合切マトモなアプローチをしてきません。しかも僕の今現在一番欲しいレコード「近藤直司トリオ/ Live at the Tarupho」の主役の人であります。このレコードを京都の<ろくでなし>で初めて聴いた時は本当にビックリしました。なんせ山口百恵さんの後にかかったものだから尚更驚きましたよ。そんな近藤さんと共演できるのはとても光栄ですし<大変>名誉な事です。

そして次はギターの組原正さんです。この人(また失礼!)、今年結成40周年を迎える日本の前衛ロック界の伝説的グループ「グンジョーガクレヨン」のメンバー (っていうかリーダー?)なんですよ!個人的に前衛ロック界という世界があったという事実を初めて知りました。人間界は地獄から数えて第5番目であるけど、この前衛ロック界という界層は浮き世を離れた(富裕層ではなく)浮遊層なのか?とにかく組原さんは僕が思うに、音楽と言われる語感(五感?)から一番遠いところで音を紡いでいる。一般的な音楽の方式ではなく殆どが<音響>。なのでいわゆる人間的なコール・アンド・レスポンスなやり方ではなく、あらゆる生活の中に於ける残響やノイズを組原流に突き放した音の塊。僕が歩んできたジャズのやり方が全く通じない、とても<大変>やり甲斐があり魅力的な共演者。

そしてそしてベースのヒゴ・ヒロシさん。この人(またまた失礼!!)、あの伝説的なパンク・バンド「フリクション」の方ですよ!日本のパンク黎明期から活動し、日本発の自主レーベルを立ち上げたいわゆるインディーズの神ですよ!それに日本フリー・ジャズを代表するバンド「渋さ知らズ」や「のなか悟空と人間国宝」でも活動し、すでにこれまでの音楽活動の半分以上はDJをも継続している、という途轍もなく<大変>な方です。ヒゴさんのスタイルも僕の少ない人生経験の中で異彩を放っています。コード感とか小節数とかビートとか、僕なんかはそのどれかにヒントを見つけてその小さいアイデアの穴をなんとかこじ開けて解決していこうという方法をとるのですが、これが全くもってない(笑)もう本当に笑えるくらい自由人なんですが、この自由が僕にとって一番<大変>な事かも知れませんね。

最後に一番年下で、いつの間にかリーダーというとても嬉しい<大変>な称号を頂いたドラムの本田珠也です。フリージャズの人、前衛ロック(ポストロックなのか?)、パンクの人、そして僕はジャズ畑の人間で一番普通ですね(笑)しっかりとジャズという音楽の洗礼を 30年受け、今ではすっかりフリージャズのスタイルも板に付いてきた感もありますが、やっぱりこの4人で演奏するのはとても<大変>ですので、苦悩しながら叩いているのもこの作品の聴きどころでもあります(笑)。

では一体何が<大変>なのか?

それはイメージさせるスタイルや構成とか普段何気に感じているような普通の営みのような事象が、僕以外のお三方には(多分)ナイのです。先にも書きましたが近藤さん、組原さん、ヒゴさん、とても自由なんです。僕が演奏しているジャズは何かしらのルールがあってそれにそって演奏します。だから何かの枠組みの中で演奏しているのと同じなのですが、この<大変>なユニットには ルールもなくただひたすら自由なのです。自由だから何をしても構わないのです。と言っても、僕らは社会生活者として何をしてもいい訳ではなく、ちゃんと楽器を使用して自由な表現方法をとっているのですけどね。何をしても構わないけど、せっかく人と音楽(音楽になっているのか分かりませんが)をするのだから、聴き合って何かが融合して喜びへと転換できたらと常々思って、僕はこの<大変>なユニットで叩いています。とても<大変>ですが、音楽の原点を見つめ直させてくれるとても素敵なユニットです。

忘れていけないのは、この<大変>なライブ・レコーディングを作品として再構築し、<大変なユニット>故の<大変>な音作りを成し遂げて頂いた、フルデザインレコードの藤掛正隆さん。ジャケットに素晴らしい写真を提供してくれた素晴らしい写真家の高下徹さん。そしていつも僕らを快く歓迎してくれるYELLOW VISONのマスター小林淳さんに厚く感謝を申し上げます。

異なる世界を渡り歩いてきたこの4人が混じり合う時、 次世代の何かが垣間見れるのではないでしょうか。稀有で希少な音楽テロリスト4人との異種格闘技戦。知恵やノウハウだけでは太刀打ちできない生きるか死ぬかのサヴァイバル。それが<大変なユニット>の本当の意味なのだと思います。凡ゆるセオリーから逸脱したこの<大変>なアルバムが、多くの皆様の手に届くことを願ってやみません。

って、<大変>って何回書いた? (文責:本田珠也)


【メンバープロフィール】:
☆近藤直司:baritone sax, tenor sax
 1980年頃より、のなか悟空(ds)、川下直広(sax)らの路上演奏に参加し、音楽活動をスタート。その後、不破大輔(b)、大沼史朗(ds)とトリオ結成し、1984年にLP「Live at Tarpho」を発表。1985年から「のなか悟空&人間国宝」のメンバーとして活動。1998年にはロシア、セルゲイクリューヒン国際音楽祭、1999年にはドイツ、メルス・ジャズ祭に出演。2009年、原田依幸(p)とのデュオでリトアニア、Vilnius 2009に出演。現在、永田利樹(contrabass)、瀬尾高志(contrabass)とのトリオ、栗田妙子(p)とのデュオ、その他、さまざまなパフォーマーとのセッションなどで活動中。

☆組原正:guitar
グンジョーガクレヨン:2019年、結成40周年を迎える日本の前衛ロック界の伝説的グループ。 1979年、組原正 (g)、大森文雄(key)、前田隆(bs)、宮川篤 (ds)、園田游(vo,reeds)により結成。1980年PASSレコードから5曲入LP『GUNJOGACRAYON』でデビュー。硬質なビートとフリージャズ的な即興演奏を融合したスタイルでポストパンクの象徴となる。その後、方法論を完全即興演奏に変化させ、1987年2nd『gunjogacrayon(2nd album)』(DIW)、1994年3rd『グンジョーガクレヨンIII』(日本カセット・レコーヂング)をリリース。以降も同じメンバーで活動を続け、2009年に解散を表明するが、2012年に完全復活。メンバーは組原正 (g)、前田隆(bs)、宮川篤 (ds)、中尾勘二(管)。他のアーティストとの交流も積極的に行い、かつて無く意欲的かつ解放的な演奏活動を展開する。組原は2007年に1stソロ・アルバム『hyoi』(PASS/P-Vine)、2012年に2ndソロ『inkuf』(DIW/disk union)をリリースし、デビュー当時“パンク版デレク・ベイリー”と評価された特異なギター・プレイをさらに進化させている。 2016年5月にサックス奏者・橋本孝之をゲストに迎えた4thアルバム『グンジョーガクレヨン』をリリース。異形の即興ユニットは新次元に突入した。

☆ヒゴヒロシ DJ HI-GO (meki-higon.com) ベーシスト&DJ :bass
1974年、フリクションの前身バンド「3/3(さんぶんのさん)」で本格的なバンド活動開始。その後「ミラーズ」(ミラーズではドラム、ボーカル)を結成する傍ら、日本初のインディー・レーベルであるゴジラ・レコードを設立。80年代は「チャンス・オペレーション」を率いる一方でスターリンやフリクション(フリクションではギター)にも参加。現在は自身のバンド「パチクリエレガンス」「和敷」の他、「渋さ知らズ」「のなか悟空と人間国宝」や数多くのバンド、セッショッンで活動中。また、出会った様々なミュージシャンとのインプロ・セッション「モルガナ実験室」は、地元国分寺のライブハウスMORGANA(2019年10月でvol.142)にて継続中。
一方、1992年よりDJ活動を開始すると同時に、日本初のレイヴ・パーティー「WATER」を主催。その後、RAINBOW2000、EARTH DANCE、EQUINOXなどのビッグ・パーティにも参加。メキヒゴンとしてはDJ ERAとともに主催しているパーティー「DipAura」は90回を越えた。他にもサイケデリックを音と光で追究する「1968」、巨大な喧噪街・新宿をテーマとする「新宿ノミン」、地球上ではなく、成層圏外の立脚点から見渡す視点を共通に持ち、DJとライブの垣根を取り払ったインタラクティブ・パーティー「Grand Minimum」など、ジャンルや形態に囚われない実験心旺盛なパーティやライブを主催している。ミュージシャン、DJともに既成概念を排した柔軟な活動を通して、常に新たな視野とアイディアを求め続けている。

☆ 本田珠也 :drums
1969年東京生まれ。父本田竹広(P)、母チコ本田(Vo)、叔父に渡辺貞夫(As)、渡辺文男(Ds)という音楽家系に 育ち、1989年頃から父の勧めでジャズを志す。 独学と はいえ血筋の良さから来る天賦の才能に加え、 アグレッシブでパワフル且つ感性豊かなプレイで、様々なジャンルをこなすようになる。 1999年5月には大野俊三(tp) の誘いで香港へ招致され、ユージン・パオ(g)等と初共 演する。 これを機に2000年12月、香港高山劇場、2001年5月、シンガポール・インターナショナルフェスティバル、同年9月香港シティーホール公演 等に出演する他、香港、日本、オーストラリア、デンマークから4人が集められ、「Hong Kong Meeting」と題したレコーディングにも参加するなど、国内に留まらず多くのミュージシャンから絶大な支持を得ている。 2001年3月、大口純一郎トリオ、菊地雅章トリオ、ケイ赤城トリオと立て続けに3人のピ アノリーダーのアルバムレコーディングに参加し、3人3様の強い個性のピアニストから称賛される。 2003年12月、タイランドインターナショナルジャズフェスティバルを筆頭に、香港~深圳~上海 のツアーに、現地のミュージシャンと共に参加。 2007年から菊地成孔DUB SEXTETに参加。最近の動向としては、積極的な即興演奏の活動が挙げられる。その主な共演者には、 Peter Brotzmann、Nils Petter Molvær、Eivind Aarset、Paal Nilssen-Love、Ingebrigt Håker Flaten、Ken Vandermark、Mette Rasmussen、Elliott Sharp、Jim O'Rourke、Thomas Morgan、 Todd Nicholson、八木美知依、大友良英、坂田明等。
2011年6月、ドイツのMoers Jazz Festivalに八木美知依ダブルトリオで出演し、 その年の11月にはオーストリアはwelsで行われたPeter Brotzmann生誕70年を記念するコンサートに招致され、アグレッシブな演奏に 欧州のコアなジャズファンをも魅了する。 2017年8月に守谷美由貴(as)、須川崇志(b)からなる待望のリーダー・アルバム「セカンド・カントリー」を発売。10月には新進気鋭の類家心平(tp)、井上銘(g)らと結成した「TAMAXILLE」を発売。2018年1月には独創的なピ アニスト佐藤浩一と組んだピアノトリオ「ICTUS TRIO」を発売と、立て続けにリーダー・アルバムを3 枚発表するという偉業を成し遂げる。現在もっともジャンルレスで精力的に活動しているドラマーである。

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